ベルマークのない自由帳

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有益と無益の境界例

ざっくり理解する「ギリシャ哲学」 -ソクラテス以前〜アリストテレスまで-

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哲学を勉強する上で大事なのは、人物名を覚えることでも思想を暗記して諳んずることでもないんだ。
大切なのは「歴史の流れを把握して自分へのつながりを捉えること」、この一点につきる。
よく言われる「哲学ってなんのために学ぶの?」という問いかけは割と本質的なんだよね。
 
ギリシャ哲学っていうのは主に「ソクラテス以前」と「ソクラテス以後」に2分割できる。
一般的にどうかは知らないが、私の中では2分割している。
 

ソクラテス以前

紀元前8世紀頃のギリシャ人の考えは神々が中心で、自然現象なんかを「神話的な物語(ミュトス)」で理解していたんだ。
宇宙の誕生や太陽が昇るのは神様のアレコレのおかげなのだー、と擬人化して説明していたわけだね。
 
それに対して、「そんな物語より事実のほうが大事じゃね?」と考える人たちが現れ始めた。
その先駆けになったのがタレスという人で、彼は自然現象を説明する「根本的な原理(アルケー)」を追求し始めた。
その流れに乗っかって色々な人が思想を引っさげてワラワラ出てくるわけだ。
 
タレス:根源的な原理は水!水属性バンザイ!
ヘラクトレイテス:万物は流転するよ、まじで。
ピタゴラス:宇宙は数的な関係で調和してるんだ。美しいでしょ?
パルメニデス:「あるもの」は常にある、「ないもの」は常にない。
エンペドクレス:自然は火・土・水・空気の4属性によって構成されている!
デモクリトス:宇宙なんて所詮それ以上分割できない原子(アトム)の集合に過ぎん。
 
彼らの考えは様々だけど、中には現代の学問に通ずるものもあるね。
ピタゴラスの考えなんて、自然を数式で捉える自然科学の考え方そのもの。
デモクリトスの考えは物理学の基本とも言えるし、ニュートリノなんかを扱う素粒子物理学の原型だ。
エンペドクレスの発想は明らかに現代社会にもっとも影響を与えていて、彼がいなかったらゲームに属性という概念はなかっただろう。
 
考えこそ違えど彼らがやったことは共通しているんだ。
「世界の原理や仕組みを説明しようとした」
 
この一言に尽きる。 

ソクラテス以後

ここでソクラテス以後の主な登場人物を紹介しよう。
この3人は哲学史上の3賢者とも言える存在で、彼らがいなかったら近代哲学は成立しなかっただろう。
 
ドラゴンボールで言えばフリーザ、セル、魔人ブウのような存在といえる。
この3人がいなければピッコロとベジータぐらいしか敵がおらず、悟空が超サイヤ人になる機会すらない。

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いきなりこの3人について触れてもいいけど、一応ナメック星にたどりくまでのエピソードがあったほうがわかりやすいと思う。
ということで、まずは戦闘力53万のソクラテスが登場した背景に触れよう。
 

ソフィストソクラテスの処刑

紀元前5世紀頃になるとギリシャ哲学はガラッと変わるんだ。
背景にはアテネの巨大化とか民主制の誕生とかあるんだけど、ひとまず脇に置いておこう。
ポイントになるのは、この時代では「能力」さえあれば国政に参加して権力者になることができたってこと。
 
その能力っていうのは多くの人を説得できる弁論術だった。
人々に弁論術を教える「ソフィスト」と呼ばれる人たちを中心に、
徳っていうのは相手を説得する能力のことさっ!
という考えが一般的になっていった。
 
それに対して「それちゃうんちゃう?」と言った人こそソクラテスだ。
あなた達の言う徳とはなんですか?どうしてそれが徳になるのですか?正しさはどうやっt
とひたすら問い詰め続ける問答法という技をソフィストにお見舞いして、彼らがいかに無知か暴いたのだった!
 
おかげで権力者の怒りを買い処刑されてしまうんだね。
たしかに実際やられたらうざいと思う。
 
ソクラテスの主張はこうだった。
権力なんてくだらない。無知であることを知り、魂を良くするために生きなさい。
 
それでも処刑されちゃったんだけどね。
 

ソクラテス~プラトン

いきなりソクラテスは死んでしまったので、強制的にプラトンにバトンタッチ。
このプラトンソクラテスの弟子で、控えめに言って天才だった。
 
彼の有名な思想にイデア論というものがある。
お師匠の追求した真の実在…そりゃあイデアにちげぇね!
 
意味がわからないと思うので簡単に説明しよう。
この世に「完全な球体」を見たことがある人は存在しない、けど私たちは「球体」が何かを知っているし作ることもできる。
それはイデアのおかげ、というのがイデア論の考え方だ。
 
また、彼はソクラテスが死刑されてしまったことにショックを受けた。
善く生きるためには国家が正しくなくっちゃいけねぇ!
 
そして生まれたのが哲人国家という発想で、哲学者こそ政治をすべきだと考えたんだ。
プラトンの行動力は凄まじく、さっそく哲学者を育てるための学校「アカデメイア」を創設してしまった。
 

プラトン~アリストテレス

プラトンの作ったアカデメイアという学校で20年もの間学び、40歳近くまで学徒を続けたのが他でもないアリストテレスだ。
まるで精神と時の部屋を現実で実践してしまったような存在である。
 
おかげで天才だったプラトンを軽く上回る化物に成長した。
まず彼は小手調べにプラトンイデア論を批判した。
 
イデア論って事物の変化とか、因果とか説明できなくね?
 
イデアというのは「どうして球体が認識できるか」を説明してるだけで、「どうすれば球体が作れるか」という具体的な説明にはなっていないということだ。
分かりづらいかもしれないけど、ちょうどソクラテス以前のタレスたちが
神話より事実大事じゃね?
と考えたのに似てる。
 
そしてアリストテレスは、事物が「質量」と「形相」の2つから構成されていると考えた。
 
質量 = 形相の元となる材料(もの)
形相 = 質量からつくられた形(機能)
 
このあたりの説明はまた別の記事で書こうと思う(疲れた)。
他にも倫理学、自然学、論理学の基礎を作ったから万学の祖と呼ばれたりもして、戦闘力の高さが伺える。
 
最後に3賢者の流れだけ確認しておこう。
 

まとめ

ソクラテス以後に登場した3人は以下のような流れをたどった。
 
ソクラテス:無知であることを知れ!魂を良くするために生きるのだ〜!
処刑
プラトン:善く生きるためには国家が正しくなくちゃいけねぇ!
アリストテレス:形相と質量…正義と友愛…中庸!
 
 
え、最初に言った「歴史の流れを把握して自分へのつながりを捉えること」が達成されていない?
今まさにこの記事を読んでいることが、あなたへの繋がりの証ではないだろうか。
 
(ちょっと違う?)