ベルマークのない自由帳

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有益と無益の境界例

Chess.comのレートが厳しいという説は本当なのか?各レートとの比較

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オンラインでチェスをやる場合には、そのサイトでの戦績に応じてレートがつくことになります。
なのでChess.comlichess.orgなど、そのサイトごとにレートが異なります。
 
大会などの公式戦に参加する場合には、国際チェス連盟(FIDE)が発表するELOレーティングというものがその人のレートになります。
(ELOレーティングとは、チェスに限らず1体1のボードゲームで実力を算出するための計算法)
 
そこで誰もが気になることが
 「Chess.comのレートはどれくらい正確なのか」
ということです。
 
そこで今回はブリッツのレート、スタンダード(現ラピッド)のレート、公式戦のFIDEレートと比較した場合を見てみます!
 
※記事中でスタンダードと表記していますが、これは現在のラピッドに該当するものです。

レートと実力の関係

このブログでも以下の画像を参考に自分の実力を説明してきました。
現在800台の私は「ルール覚えたて」に該当することになります。
 

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しかし、一緒にチェスをやっている方から
 
「それはスタンダードの基準で、持ち時間の少ないブリッツではまた基準が違うのでは?」
 
という指摘をいただき、衝撃を受けました...!
1番プレイするブリッツを基準に考えていましたが、これはいわゆる「早指し」だったことを思い出しました。
 
たしかにデイリーなどのゲームモードによってレートにバラツキがあり、どれが実態を表すのか疑問はあります。
しかし、それを知るためには各レートを比較して調査する必要しなくてはなりません…。
 

実際に調査している人がいた!

Chess.comの記事に「Chess.com Rating Comparisons」というものがあると紹介していただきました。
この記事では、Chess.com ブリッツのレートとスタンダードデイリーチェスUSCFFIDEの各レートをユーザーにアンケートを取っています。
 
記事では265名のデータから以下のような結果が得られたそうです。
 
Blitz
Standard
Bullet
Turn-Based
USCF
FIDE
800
1105
667
1355
944
1207
850
1134
720
1380
992
1240
900
1164
773
1406
1039
1273
950
1193
827
1431
1087
1306
1000
1223
880
1456
1134
1338
1050
1253
933
1482
1182
1371
1100
1282
987
1507
1229
1404
1150
1312
1040
1533
1277
1437
1200
1342
1094
1558
1324
1469
1250
1371
1147
1584
1372
1502
1300
1401
1200
1609
1419
1535
1350
1431
1254
1634
1467
1568
1400
1460
1307
1660
1514
1600
1450
1490
1360
1685
1562
1633
1500
1519
1414
1711
1609
1666
1550
1549
1467
1736
1657
1699
1600
1579
1521
1762
1704
1731
1650
1608
1574
1787
1752
1764
1700
1638
1627
1813
1799
1797
1750
1668
1681
1838
1847
1830
1800
1697
1734
1863
1894
1863
1850
1727
1787
1889
1942
1895
1900
1757
1841
1914
1989
1928
1950
1786
1894
1940
2037
1961
2000
1816
1948
1965
2084
1994
2050
1845
2001
1991
2132
2026
2100
1875
2054
2016
2179
2059
2150
1905
2108
2041
2227
2092
2200
1934
2161
2067
2274
2125
2250
1964
2214
2092
2322
2157
2300
1994
2268
2118
2369
2190
2350
2023
2321
2143
2417
2223
 
この数値を一見してわかることは、
デイリー > FIDE > スタンダード > USCF > ブリッツ > バレット
というレートの関係です。
 
そして何より、ブリッツのレート800のときにはスタンダードで1100、FIDEレートは1200となることがわかりました!
私はブリッツが現在890なので、スタンダードで考えると1100台ということになります。
 
めっちゃ強いやーん!じぶーん!
 
と思わず叫びました。
 

全体的な傾向はどうなのか

先ほどのデータを使って、x軸にブリッツのレートを置いた各レートとの線形回帰のグラフを作成しました。
今回は主にChess.comのスタンダードと公式戦のFIDEレートを見たかったので、他の回帰線は点線にしました。
 

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パット見で以下のことがわかります。
 
  • ブリッツがのレートが低い時ほどスタンダードとFIDEレートのほうが高い
  • ブリッツのレートが高くなると、スタンダードとFIDEレートの方が低くなる
 
スタンダードとFIDEレートは傾きからもわかるように、ブリッツのレートが高くなるほど両者との差が縮まります。
スタンダードはブリッツのレートが1700くらい、FIDEはブリッツのレートが2000くらいのときに逆転するようです。
 
バレットに関してはブリッツのレートが低いときほど、バレットの方が低くなります。
傾きがキツイことからもわかるように、ブリッツのレートが上がるほど差が縮まります。
2300になるころにはほぼ差がありません。
 

Chess.comのレートは本当に厳しかった

今回の結果から、
Chess.com のブリッツのレートは厳しい
ということがわかりました。
 
というより、持ち時間が短いほどレートが低くなる傾向があります。
レートの基準が厳しいというより、持ち時間が少ないほど難易度が高いというのが正確な表現でしょうか。
 
今回参考にしたデータから、新しい図を作成しました!
スタンダードとFIDEレートを参考に、ブリッツのレートを変換した形になります。
今後はこの図を参考に現在地を確認していきたいと思います。
 

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ちなみに参考データとしては以下のとおりです。 
Blitz Standard FIDE
800 1105 1207
1000 1223 1338
1200 1342 1469
1500 1519 1666
1800 1697 1863
2000 1816 1994
2200 1934 2125

おまけ

ちなみに、この調査については2015年2016年も行われています。
今回それらのデータを用いなかったのは以下の理由です。
  • 2015年のものはブリッツ、バレット、デイリー、USCF、FIDEしかない
  • 2015年のものはブリッツのレート850からしかFIDEレートがない
  • 2016年のものはブリッツのレート1200からしかデータが揃っていない
 
これらのデータを見てみたい、という人向けに記事のリンクを載せておきます。