ベルマークのない自由帳

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有益と無益の境界例

チェス日記(2018/08/01):悪手がなかった対局の特徴とは?

いつもは負けた対局を中心に振り返っているので、今回はChess.comの分析で悪手・大悪手がなかった対局を振り返ってみようと思います。
そうすることで、何が良かったのかを明らかにして再現性を高めていこうと思います!

振り返り

1局目(緩手/悪手/大悪手無し)

私は黒で、10手目にチェックメイトをしました。
分析で最善手は88.9%、CAPSは99.55でした。

  • 1.c4に対して1…e5としたのは「e5は脅かされないからセンターを支配するチャンス」と考えたけど、3.Bg2でd5が殺されたのはなるほどと思った
  • 3…Nc5としてd5のポーンを突く準備をしつつキャスリングの準備を完了した
  • 5…a5は「5.a36.b4を突いてc5のビショップを攻撃する1手だろうからそれを防ごう」と考えた1手だけど、5…c6 6.b4 Bd4とすればd5を突く準備をしつつセンター支配を強められた
  • 6...Re8は「d5を突くためにc6を打ちたいけどNc6ができずe5ポーンが浮くから、それを防ごう」と考えた1手で、我ながらいい筋だと感じた
  • 7…d6は「相手のポーンのおかげでマイナーピースが動きづらいけど、とりあえずビショップの道を開こう」と考えた1手が結果として最善手で、堅実な手だったと感じた
  • 8…h6は「バックランクに窮屈さがあるからQxf6でクイーンだけでも前に出そう」と考えた1手で、これがメイトにつながる手筋になった
  • 相手の10.b4があったときf6のクイーンc5のビショップの利きが頭に入っていたから、すぐに10…Qxf3#という咎める1手が思浮かんだ
相手の1手1手について意図を考えながら対応できたと思います。
「自分がどう仕掛けるか」ではなく「相手の狙いをどう対応すれば防げるか」を考えられていたのが良かったです。
 

2局目(緩手/悪手/大悪手無し)

私は黒で、24手目にチェックメイトをしました。
分析で最善手は68.2%、CAPSは94.45でした。

  • 2...exd4は「センターの支配を失いそうだけど3…Nf6でポーンを攻撃しつつセンターを支配しよう」と考えた1手で、先のことまで考えることができていた
  • 4.Qe5+は悪手だと思っていて4.e5とされていたら少し困っていた(分析の結果、4.e5 Nc6 5.Qf4 Qe7としてひたすらe5をいじめる手筋が気持ちよかった)
  • 5…d6は「クイーンを攻撃しつつビショップの通り道を開けよう」と考えた1手で、すぐクイーンを攻撃したくなるいつもの悪い癖で6...Nc6としたほうが形としてよかった
  • 8…Nc6は「8…Re8から9…Bb4としてクイーンを攻撃しよう」という考えを抑えて「まずはc5のポーンを守ろう」とした1手で、安直な攻撃より守りを優先できのが良かった
  • 10…Bb4は「クイーンをピンにして確実なクイーンアップ」を狙った1手で、相手の10.Nf3という悪手を見事に咎めることができた(あとNc6をしっかり認識してうまく活用できた)
  • 12…Re8e5のナイトをピンにして相手の13.Rxd7に対して、13…Qxd7ではなく13…Rxe5+から14…Qxd7とできたのが「価値の高いコマに対する利き」にとらわれず考えることができていてよかった
  • 20…Rxa2は「メイトをする手筋を考えるよりまず局面をシンプルにしよう」と考えた1手で、20…Qf3ならメイトの手筋があった(20... Qf3 21.Rf1 Nd3 ~ 26. a3 Qg2#)
  • 22.Qf3は「ナイトとルックをフォークにしながらメイトを狙う」1手で、我ながらよく見えていた1手だと感じた
  • 23…Rxe3は「ルックのサクリファイス24…Qg2#がある」と考えた1手で、価値の高いコマを捨てる判断ができた点で成長を感じた
序盤にポーンを突きあった局面で交換の結果(ポジション)まで考えた上で着手できて、苦手な部分を意識できた実感がありました。
価値の高いコマに利きが当たっていても盤面全体を見てよりよい選択を考えられたり、サクリファイスなどをした上でのメイトを考えられたのが良かったです。
常に相手の手に対して意図を考えてそれを阻止しようとしていた結果、相手のボロが出始めてそれを咎める手筋で解消することができた。
 

気づいたこと

 
  • 「自分が何を打つか」だけでなく「相手の狙いはなにか、それを防ぐ1手はなにか」を考えながら手を進めていた
  • 「攻撃できるから攻撃する」ではなく「守りを盤石にしたうえで攻撃を仕掛ける」ということを心がけていた
  • 勝てたのは「独創的な鋭い攻め」ではなく「相手のミスを咎め手筋」だった
 
総じて言えることは「相手の手をしっかり見ていたこと」ですね。
つまり、局面を正しく評価する「状況判断」ができたいたかどうかです。
ダンスは相手のリズムを把握してステップを踏まないと成立しませんよね。
それと非常に似た感覚を覚えました。
ダンスやったことないけど。
 
逆に、今までは何を見て1手1手を考えていたのだろうか、とさえ思いました。
おそらく
 
「俺のペースに合わせて踊れよ!オラオラ!」
 
みたいな考えで脆い攻撃を展開して「こうあってほしい」「相手にはこう応えてほしい」と独りよがりのダンスをしていたのでしょうね。
ダンスやったことないけど。
 

おまけ

このプロブレムがどうしてもわからなくて、ヒントを見てやっと答えがわかりました。
その結果、「どうしてわからなかったのか」もわかりました。

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正解は1.Qe6+なのですが、これは「ポーンを進めるためにクイーン交換をする」1手です。
この選択肢が浮かばなかったのは、直感的に以下の2点を判断したからだと思います。
  • クイーンが無くなったらビショップvsルックで不利になりそう
  • プロモーションをするのにビショップだけでは無理そう
エンディングで「価値の高いコマがなくなる恐怖」と「中途半端な経験則」が阻害要因でした。
これも局面を正しく評価する「状況判断」の不足が原因ですね。
 
 
チェスに本腰入れ始めて1ヶ月の報告をまとめました。